松虫にボロ屋 鈴虫にGTR
松虫家族の家のボロさを、紹介します。
昭和49年築、木造2階建て。
外壁内壁ともに、無数の亀裂入りまくり。雨漏りは2か所。内1か所は、電気配線にも影響し、照明が点灯しない。床、階段、全うぐいす使用。ギシギシ鳴りっぱなし。船虫の部屋のドア枠は歪み、松虫が歩くたびに、「ボン!」と歪みが弾けて音を立てる。まるでノックしたようで、中に居る船虫に「何か用かい?」と、聞かれる始末。
水道管は錆が吹きまくり、出が悪いわ、出ても濁り水‼ 飲料に適さないので、松虫と船虫は空のペットボトルを車のトランクいっぱいに詰め、他所へ水を汲みに行った。
1っか月ごとに汲みに行かないと、なくなった。
ガスコンロは3口中、2口が錆て点火しない。残りの1口は、ゴーゴー異音を立てる。
こんな家の住人が、GTR⁈
他にセルシオもあり、車両は3台。
そして極めつけは、船舶‼ しかも有名マリーナ係留‼
なんという、身分不相応‼
なのに何故、松虫は声をあげなっかたか。
それは松虫の母との事が起因する。
母は何かと松虫のやることにダメ出しをした。特におこずかいの使い道にはうるさい。
「そんなことに、金を使うな」
「無駄使いせず、しっかり貯めろ」
「1円でも無駄にするな」
等々言う。松虫にはたまらなかった。若い頃は、それこそバブル‼ 浮かれた男女が海外旅行に行きまくっているのに、友人との国内旅行でさえ、烈火のごとく松虫を責めたてた。母の金ではない。自分の給金からなのに、こうなのだ。
そんな体験から、人の金使いに口出ししたくなかった。それは、母のあの行為を肯定することになる。ま、そう考える時点で、充分母の呪いに縛られているわけですが。
だから、楽しそうに車、船で遊ぶ鈴虫が、松虫には眩しかった。
松虫には出来ないことだ。
母を無視して旅行に行っても、「もし、怪我をしたら叱られるかも」と、怒る母の顔、声が浮かぶ。スキーなんかだと特にそうで、「随分、慎重に滑るね」と友人が言ったもんだ。家に帰って「ああ、疲れたあ」なんて素振りでも見せようもんなら、「もう、行くな‼」と言われる。だから、やたらひとりで休憩をした。これじゃ、人生楽しくないわ。これも、今だからわかること。
さて、このボロ屋は、2011年9月下旬から住んでいる。店の経営が悪化し、ここに引っ越した。当時の土地建物の名義は、鈴虫と鈴虫の母親。ローン返済終了しているので、家賃がかからないのが最大の魅力。
鈴虫がまだまだ、女郎蜘蛛に出会わない頃のことだ。