ボイスレコーダー様、感謝‼
鈴虫は告白出来て、実に清々しく松虫に言った。
「俺、やっぱ、正直なんだよね。」
正直なら、何やってもいいのかい⁉ 真の正直な方々に失礼だわ‼
ペラペラ喋る鈴虫は、段々自分に酔って行ったようだ。
ついに松虫も我慢の限界かと、血管が切れそうになったのがコレ。
「家族に嘘を言って、俺と会うような人だろう。俺が彼女を選んだ後に、俺を
捨てるかもしれないんだよ。そうなったら、結局俺は独り寂しい老後じゃ
ん。それは嫌だなって思うんだよね。」
おい‼ 松虫のことは無視かよ‼ 28年間夫婦だぞ‼ なんと、自分勝手な‼
松虫は、女郎蜘蛛の子供達と暮らすのかと質問した。すると
「なんで、父親がいるのに。」
子供は母親と暮らしたがるもんだよに対し
「暮らしたがるかな?俺なんかと。」
そうじゃない! 母親と暮らしたいんだよ。説明しても
「父親と暮らせばいいじゃん。」
暮らさなくとも、養育費や教育費とかを見る気はあるのかに対しても
「なんで俺が?父親がいるじゃん。」
それよりも、女郎蜘蛛の夫から慰謝料請求されるよに対しては
「だって、俺、バレてないじゃん。だから、大丈夫だよ。その前に、モラハラ
で夫と別れちゃえばいいんだから。」
呆れる発言の数々。鈴虫の自分勝手な考えは、松虫以外にも繰り広げられていった。
ボイスレコーダーがなかったら、松虫は何をしでかしていただろうか。
ボイスレコーダー様、本当にありがとう。感謝、申し上げます。