最後のお迎え 【新店舗買物見学会】
久方ぶりの心地良い眠りは、またしても鈴虫の妨害にあった。
白衣姿の鈴虫が、運転席の窓を叩いている。
「もう少しかかるから、待っていて。 随分、早く来たんだね。」
松虫には、心配かけたな。疲れて寝ているんだ。不安で寝れなかったろうに。。わざわざ迎えに来てくれて、申し訳ない。まだもう少しかかるから、寝かしておいてあげよう。等々、、、、。
【お前は、思わんのかーい⁈⁈】
ふと時計を見た。5時20分ぐらい。
おい‼ 5分も寝れていないぞ‼ わざわざ起こすなよ‼ いじめか⁈
だから、やりたい放題なんだよ。
ムカムカしながら、車内で待った。約束の5時半が過ぎても、鈴虫は出て来ない。
40分、50分、、、。
【いつまで待たすんじゃあー‼】
【だったら、寝ていたかったぞ‼】
【せっかくの快眠を、邪魔しやがって‼】
【W不倫のくせに、もう許せん‼】
松虫は、車から降りた。怒りと共に。
ここは、女郎蜘蛛と出会う前の勤務店舗の駐車場。道路拡張工事で立ち退かされ、一年後に新店舗が完成した。この時まで、松虫は行ったことがなかった。
「ならば、見学ついでに買物でもしみるか? 時間つぶしに。」
血圧低下、血圧安定を図ろうと新店舗入り口に向かった。