女郎蜘蛛の社会的な面
松虫は、現在も女郎蜘蛛と直接対峙していない。
不倫告白以前に、松虫、鈴虫、鈴虫の母親、次男の4名で、女郎蜘蛛がパート勤務し、かつて鈴虫が1年だけ勤務していた店舗に、1度だけ買物をした。次々とパートさん達が松虫見たさに挨拶しに来てくれた。そう、鈴虫は弁が立つから、主婦受けがとても良くなる。どの方もどの方も屈託ない笑顔で話しかけてくださるなか、たった一人だけ、その人だけが無言で会釈して去って行った。一瞬たりとも笑み一つ浮かべずに。
【多分、あれが女郎蜘蛛なのだろう】
大胆にもW不倫。 受験生の娘を見捨てて逃避行。 そんな字面と真逆な地味な人と記憶している。皆さんが笑顔で話されたから、女郎蜘蛛のあの無表情が目立って記憶の片隅に引っかかった程度。とにかく地味。オーラ感なし。そんな女性。
なのに、【物欲しげな鈴虫】の女郎蜘蛛は、まるでキャバ嬢⁉
当時はまだ、あの地味な人が女郎蜘蛛と知らない。だから松虫はW不倫の相手を、どえらいモンスターなんだと想像していた。受験生の娘を放って行けるのだからと。
そう、どえらいモンスター女郎蜘蛛は、市井に馴染んで身を潜めていたのよ。
みなさーん‼ 気を付けてえー‼